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NPO法人ニュースタート事務局関西

直言曲言(代表コラム)

4年目の年頭に当たり

 ニュースタート事務局関西の活動は1998年の10月から開始しているので,既に丸3年が経過し,4年目の活動がはじまっていることになる.『年頭に当たり』などと言っても,別段大げさな抱負など書く気はない.今年も淡々と活動を続けて行くことになるだろう.

 だからと言って無気力なわけでもない.なにしろ私達の活動は積極的に出かけて行って,何かを販売するような活動ではない.私達は控え目に活動の内容をホームページなどで紹介しながら,問い合わせてきてくれる人を待っているだけである.だから販売目標などあろうはずがない.
  たまに活動に共感してくれる新聞記者さんなどが,紙面で取り上げてくれることもある.正直言うと,そんなときは<てんてこ舞い>になる.でも問い合わせを受けて,わが子の引きこもりに悩んでおられた親御さんがこちらの『ご相談に乗らせていただきますよ』のひとことに,電話の向こうでほっとため息をついておられるのを聞くと,なぜかファイトが湧いて来る.

 ホームページの『事務局からのお知らせ』にこの1年の活動を振り返る記事を掲載しているが,実はニュースタート事務局関西の最初の2年間は,『大学生の不登校と若者の引きこもりを考える会』という名の『例会』活動を細々と続けてきただけで,現在行なっている活動のほとんどは昨年1年間に始められたものである.よくまあ,次から次にいろんな活動を手がけてきたものだとは思う.この調子でいけば,今年1年間も新たにいろんな活動を展開して行けそうだと思う.
  でも例会や鍋の会の開催回数や参加者数に目標を設定しても仕方がない.昨年やったことだから,今年も継続しなければならないなどと言うことはまったくない.むしろ,そうした防衛的な考え方ややり始めたことを必死に守って行こうなどと考えるのは,私達が否定する古いビジネス社会の考え方だろう.

 さっきも言ったように,参加してくれる人や問い合わせてくれる人は,こちらから積極的にお誘いしているわけではない.第一,参加者が増えると言うのはそれだけ『引きこもり』が多いと言うことであり,あまりおめでたい話ではない.このあたりが,引きこもり問題を扱うNPOの難しい問題であり,病人が増えて繁盛するお医者さんがえびす顔で喜べないのと同じであろう.
 
  それでも,最低限は守って行きたいものがある.それはニュースタート事務局の活動によって引きこもりから≪脱出≫することができた若者達の,活動の場の維持である.
  引きこもりからの≪脱出≫と言ってもいろんなレベルがある.<引っ張り出される>側から<引っ張り出す>側に回ってレンタルお兄さんやお姉さんとして活躍したり,ニュースタートクラブのリーダーとして活躍している人もいる.そこまで行かなくても例会や鍋の会には積極的に参加したり,快活に発言してくれる人もいる.事務局をサポートしてくれる人もいる.でも,まだまだ対人恐怖が抜けきれなくて,ときおり鍋の会などに顔をだしてくれるが,普段は自宅でうつうつとしている人もいる.ホームページの掲示板に書きこんだり,事務局にメールをくれるけれど,コンピューターの向こうから顔を出せない人もいる.

 ニュースタート事務局の活動の目標は,引きこもりの若者を引っ張り出して,いつまでも事務局活動の周辺にとどめておくことではない.事務局などは一つの踏み台にして,独自に自分の活躍できる場(社会)を発見してそこへ飛び出して行ってくれれば,それで最上である.
  でも,実際にはそれはなかなか至難のことであるらしい.事務局の活動もすべての若者に心地良い活動ばかりとは限らないから,気に入らなくなったり,無理をして少し早い旅立ちをして行った若者も少なくない.そんな人達が,結局以前からの上昇志向から脱出し切れないまま,苦しい闘いを続けているのを見聞きすると,事務局として責任を痛感することがある.

 以前に『引きこもりは社会的冬眠である』と書いた.就職氷河期のことだけに限定するわけではないが,日本列島はこれからまだまだ厳冬に向かう.経済に限らず,人と人との絆がこれだけ解体され,対人不信や対人恐怖が渦巻き,家族が穴熊のように引きこもっている状態である.家族は冬篭りのために貯えた食糧を他人に奪われないように,ますます自閉的になり,若者達が他人を信頼できるような社会性を身につけるにはますます程遠い社会である.それどころか他人を信頼せずに,騙されず,むしろ他人を騙す技術を身につけることが社会性を身につけることであるかのような風潮である.

 経済価値を優先し,他人を欺き,人の温もりを否定する恐竜のような人類がはびこっている世の中ではないか?氷河期はいずれこうした「恐竜」たちを淘汰するであろう.私たちはむしろ氷河期がやってきて,やがて過ぎ去って行くのを待っている.ただし,ただ待っているだけでは駄目である.私達の身体だけでなく,心まで凍り付いてしまわないように,人と人との温もりを感じ,信頼を養いながら,私達の心と身体を鍛えて行く遊びをしようではないか?その遊びの中から,少しでも人と人とのつながりに確信を持てるように慣れればそれでよい.

 2002年,ニュースタート事務局関西は呼び掛けます.

  おしくらまんじゅう,押されて泣くな!

 <おしくらまんじゅう>するものこの指とーまーれ!
(1月8日)