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NPO法人ニュースタート事務局関西

VOICE

「1+1=2」という議論を聞いて

 

3月16日(土)の例会において,「論理的に正しいとされる親達の考え方」を子供に押し付けることは良いのかどうなのか?という議論を,算数の「1+1=2」をたとえ話としておこなわれていました.〔※〕

引きこもりの子供をもつ親御さんいわく― 「我々が子供のころ,親の言うことは絶対で自分達が反抗しようがびくともしなかった. 我々が親になって厳しさがなくなり,少々子供の味方をしすぎているのではないのか. もう少し,子供達の壁になって,子供がそれを乗り越えるくらいの方が良いと思うし,子供にもそれを乗り越えることを期待したい.」

引きこもり経験者の方いわく― 「自分の親の考え方はガチガチに固く,それと自分の価値観とのギャップに悩まされた. 親御さんはあまり,自分の考え方を押し付けないでほしい. 『1+1=3』の考え方つまり,自分のやりたいことを自分で見つけて,それぞれの価値観で生きていくことを許容してあげてほしい.」

レンタルお兄さん(ニュースタートパートナー)の方いわく― 「「『1+1=2』の考えかたを押し付けることが,本当の意味での親としての厳しさなのだろうか? 『1+1=2』ということを口に出して言わず,生き様〔いきざま〕として子供に見せることが,本当の意味での厳しさなのではないでしょうか?」 という意見が主に出ていました.

私は,引きこもりの問題にとって,どの意見が正しくて,どの意見がおかしい,とは思えませんでした.

人には色々な価値観,考え方があり,それはそんなに簡単に変えられるものではありません. また,それぞれの価値観,考え方で生きていっても,幸福になる人もいるし,不幸になる人もいます. 親の考え方を押し付けられても幸福に育つ子供はいるし,子供に向かって「あなたの好きな道を自由に選んで進みなさい」と言われて人生に悩んでしまう子供もいるでしょう.

親として大事なのは,自分の考え方に「信念」があるならば,「1+1=2」というガチガチの考え方であっても(もちろんそうでなくとも)押し通すことだし,他人から言われたぐらいでその「信念」を曲げないでほしいです.

ただし,「1+1=2」という価値観,考え方(それ以外も)が,子供自身にとって生きて行く上で必要・有益な価値観,考え方なのか,又は,不必要・有害な価値観,考え方なのかは誰にも(親にも)わかりません.

それは,本人の感性が主体的に選ぶものです.

親に出来ることは,子供に対して,生きて行く上での「自信」をつけさせてあげることではないでしょうか? 「自信」をどうやってつけさせるか?は西嶋さんがよく言っておられるように,兎に角「人間体験」を多くさせるという事に つきるのではないでしょうか?

色々な価値観,考え方をもち,それぞれ,それなりに幸せに生きている人達を多く体験させることによって,「どんな価値観,考え方を選んでも大丈夫なんだ」という認識を持たせられ,それが「自信」となり,自らの感性で,自分に合った価値観,考え方を子供達が柔軟に選択出来ます. そして,それがその後の人生の駆動力となっていくでしょう.

親御さん方にお願いします,「会社・職場」「文化サークル活動・ママさんバレー」「となり近所」など,よく似通った価値観,考え方の人たちだけで固まるだけでなく,もっと,色々な価値観,考え方を持った人達との交流をどんどんして下さい. そして,子供達も巻き込んでください. もちろん,ニュースタートもその交流の一つの場所として活用してください.

hiro

〔※〕編集者註;この日の例会では,ごく「あたりまえ」「社会常識」とおもわれている考えが「1+1=2」にたとえられ,これに対して,常識では理解できない考えや,行動が「1+1=3」にたとえられた意見交換が行われました.