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NPO法人ニュースタート事務局関西

VOICE

家を出て

京都にある実家を出て早くも二週間になります.一ヶ月経つのもあっという間,このままだと一年なんてすぐに来そうです.
僕自身もいわば「引きこもり」の人間でした.高校卒業後すぐの一ヶ月間今でもまだ「暗闇」のまま.半年ほどの無職期間やリストラや内定取り消しなどもありました.

でも,今では自分のやりたいことを支えに,少ない給料を上手く回転させながら毎日を楽しく過ごしております.

それでも実家にいた頃は何か引っかかるものがありました.それがいつも気になって,仕事が終わってくつろいでいても,また,休日に眼がさめていろいろやっていても楽しむことができずにいました.そしてそれが何なのかは実家にいる頃には全くわかりませんでした.

でも今,家を出て数日たって,はっきりとそれがわかります.

それは「社会の目」と「親の目」です.

「社会の目」.自慢ではないですがここ一年ほど自分の音楽活動やニュースタート,あるいはフリーターズネットワークでの活動から,新聞やTV,個人的にもインディー系のサイトなどの取材を受けたりしてきました.
でも,そのたび「職業」を聞かれ「フリーター」と答えることに抵抗をもっていました.ある取材ではあからさまに「パラサイト型のフリーター」という扱いをされ不快な思いもしました.
そういった社会の目という部分を晴らしたいと思い,この話が来たときに真っ先に飛びつきました.
「社会の目」は時として鋭い刃となって人を無言で攻撃します.それが僕にはある意味「重荷」になっていたのです.

そして「親の目」.「過保護な」環境にいた僕は,心の中では反発しつつも,実は家にいることで「甘え」を満喫していました.
食事には困ることは無い,風呂も電気も気にしないで使い放題.洗濯もしなくてもいい.実際は自炊も家事もできるのに,全くしなくてもいいのだから.
食事は基本的には自活だったけども,お金を心配しなくていいから結構外で豪快に食べていた気がします.
そんな甘えに頼りながらも,「親の目」に負けていたのでしょう.

食事を貰っても何かスッキリしない.食事があることに疑問も湧かない.
食べ終わってくつろいでいても,何かを気にしている.
食べ終わった食器類は気がつけばキレイになっている.
夜遅くまで作業していても,物音響かないように気配りしている.
仕事終わって家に帰って,自分の部屋のソファーに折りたたんである洗濯物を疑問にも思わない.
風呂いつでも「いい湯加減」だ.

「親の目」に負けて現実に甘えていたのです.

働くようになって家にお金を少しでも入れても,過保護な部分は消えることはありませんでした.またこれは年齢がいくつになっても変化することはないでしょう.そして自分が結婚して子供が生まれても同じなのでしょう.

親は親.いつまでたっても子は子なのです.

それは当たり前のこと.でも関わりすぎるのも,親離れ・子離れできないことも良くありません.

いつかは羽ばたかなければいけない.それが本来あるべき「親子関係」です.

家を出て少ない給料を上手く廻しながら食費や活動費を捻出する.
食材を買い揃え自分で調理して食器を洗う.
毎日「されていた」洗濯は,週に数回まとめてやるようになった.

でも半面,親の目気にして合わせていた入浴時間や食事の時間は,自分の都合で選択できるようになった.
親の苦労が身に染みてわかるようになった.

そして何より,あらゆる「視線」から脱出できたことで,心の底から解放感を感じます.
この前の初めての休日も,忙しさの裏に解放感からくる充実感で一杯でした.
犯罪はするつもりはないが,ようやく独り立ちしてできることがあるような気もします.
新しいモノへの挑戦をしていくうえで,本当にいい環境になったと実感します.

僕もいつかは結婚するでしょう.そうなればその「親子関係」も身に染みて感じてくるはずです.

そのときに自分の体験から,子供に何を伝えられるのか?

それはこれからの経験が役に立つのでしょう.

財布とのにらめっこを続けながら(笑)
jun (7月30日)